KEK/J-PARCニュートリノグループ

Intermediate Water Cherenkov Detector

中間検出器は、東海村に新たに建設される実験施設に設置される予定です。地下を通過するニュートリノビームを捉えるため、深さ約50m、直径約10mの立坑の内部に水を蓄えて観測を行います。本格的な観測の開始は2028年頃を予定しています。

中間検出器実験施設のイメージ図

中間検出器

中間検出器(英語略称: IWCD)は、J-PARCからハイパーカミオカンデに向かって約1km離れた地点に新しく設置されます。ニュートリノ振動により変化する前のニュートリノの性質を詳しく調べるために、ハイパーカミオカンデと同じ原理でニュートリノ観測を行います。

中間検出器のイメージと実機で使用予定の新型光センサーモジュール

中間検出器は、ニュートリノを観測するための可動式の水チェレンコフ装置です。ニュートリノが高さ約12m、直径約9mの水槽内部に純水を蓄えた中間検出器を通過すると、稀に検出器内部の純水と反応し、チェレンコフ光と呼ばれる微弱な光を放出します。この光を新しく開発されたマルチPMTで検出することによりニュートリノ観測を行います。

中間検出器で捉えたチェレンコフ光(シミュレーション)

このマルチPMTは、19本の3インチ光電子増倍管を一つの容器内にまとめた新型光センサーモジュールで、ハイパーカミオカンデで使用する20インチ光電子増倍管よりも精細にチェレンコフ光を捉えることができます。

また、中間検出器は、上部の浮力体により立坑の中で船のように浮いた状態で設置され、立坑の水位を変えることで上下に移動することができます。 J-PARCで生成したニュートリノのエネルギーは深度によって異なるため、この上下移動によりニュートリノのエネルギーによってニュートリノがどう変化するかを詳しく調べることが可能になります。