ï 前置検出器 | KEK/J-PARCニュートリノグループ

KEK/J-PARCニュートリノグループ

Near detector

J-PARC敷地内のニュートリノモニター棟はニュートリノ生成標的から約280m下流の位置にあり、直径17.5m、深さ33.5mの縦穴の中にはいくつかの検出器が設置されています。
ビーム中心 (0°) にある「オンアクシス検出器」はINGRIDと呼ばれています。十字型に配置された14台のモジュールからなる検出器で、ニュートリノビームの方向や広がり、安定性をモニターします。
ビーム中心にない「オフアクシス検出器」には、スーパーカミオカンデの方向 (2.5°) に配置されたND280と、それより小さい角度方向 (1.5°) に配置されたWAGASCI/BabyMINDと呼ばれる検出器があります。ND280では、生成したニュートリノのエネルギー分布やビーム中の電子ニュートリノ成分の測定などを行います。また、これら3つの検出器を用いて異なるエネルギー帯や標的物質での測定を行うことで、ニュートリノと原子核の反応を詳しく調べる研究も進めています。

  • ニュートリノモニター棟前置検出器ホールの写真

  • INGRIDの横方向モジュールの写真

  • ND280の写真

  • WAGASCI/BabyMINDの写真

T2K前置検出器アップグレード

T2K実験グループは、前置検出器ND280のアップグレードを実施しました。検出器の一部を新型のシンチレーション検出器 (SuperFGD)、タイムプロジェクションチェンバー (HA-TPC)、飛行時間測定器 (TOF) に置き換えることで、ニュートリノ反応の詳細な測定を目指しています。
KEKニュートリノグループでは、国内外の研究者と協力してSuperFGDの建設と設置を行いました。約200万個の1cm3のシンチレーターキューブを積み重ねた構造を持つSuperFGDは、複数のキューブを貫く波長変換ファイバーを介して直交する3方向から信号を読み出すことで、荷電粒子の飛跡を従来より高い精度で測定することができます。

  • アップグレードされた前置検出器のイメージ図

  • 建設中のSuperFGDの写真(2022年12月頃)

KEKニュートリノグループでは、前置検出器に関係したいくつか重要な研究活動をしています。詳しくは各研究のページをみてください。